カットマンは、台から離れた位置で前後左右に大きく動きながら戦います。どれだけいいカットを持っていても、ボールに追いつけなければ返せません。カットの安定も、守備範囲の広さも、攻撃への切り替えも、すべてフットワークが土台です。この記事では、カットマンのフットワークの基本「常にニュートラルの位置に戻る」から、前後左右の動き、ミドルの処理、練習方法まで解説します。
この記事でわかること
- カットマンのフットワークの基本:ニュートラルに戻る・足で打つ
- フォアとバックの足の入れ替え、左右・前後の動き
- ミドルの処理と、足でコースを決める方法
- フットワークの練習メニュー
カットマンのフットワークの特徴
カットマンのフットワークには、攻撃型の選手とは違う特徴があります。
- 動く範囲が広い:台の近くでのストップやツッツキから、台から離れたカットまで、前後の動きが大きい
- 左右に大きく振られる:相手はフォアとバックに打ち分けてくるので、左右の移動も多い
- 足で打つ:足を止めたまま腕だけで返そうとすると、スイングが安定せず、守備範囲も狭くなる
カットマンは、腕ではなく足で打つ。これがフットワークを考えるときの出発点です。
基本|常にニュートラルの位置に戻る
カットマンのフットワークで最も大切なのは、打ったら必ず「ニュートラルの位置」に戻ることです。ニュートラルの位置とは、フォアにもバックにも、前にも後ろにも動き出せる、台から少し離れたミドルの構えの位置です。
打った場所に留まっていると、次のボールが逆のコースに来たときに間に合いません。1球ごとにニュートラルに戻ることで、どのコースにも同じ条件で動き出せます。高島規郎も、カットが入らなくなったときの直し方の一つとして、打球後に素早くニュートラルに戻ることを挙げています(『続・卓球戦術ノート』)。
足だけでなく、ラケットの戻る位置も大切です。村松雄斗は、打った後のラケットを高すぎず低すぎない位置に戻し、カットにも攻撃にも備えられるようにしていると話しています。
足を入れ替える|フォアは左足前、バックは右足前
右利きの場合、フォアカットは左足を前に、バックカットは右足を前に出して打つのが基本です。フォアとバックを切り返すときは、この足の入れ替えを徹底します。平行足のまま腕だけで対応すると、スイングが不安定になります。
足の形が決まると、体の向きとラケットを出す方向がそろい、スイングが安定します。
左右の動き
動く方向の足から出す
左右に動くときは、ボールが来る方向の足から踏み出し、反対側の足を寄せます。右に動くなら右足から、左に動くなら左足からです。
腰を入れ、重心を低く保つ
足だけで動くのではなく、腰を入れながら移動します。移動中も重心を低く保ち、打つときには腰が入った、打ちやすい姿勢でボールを捉えます。左右に大きく振られたときこそ、この姿勢を崩さないことが大切です。
前後の動き
ストップの後はすぐ足を引く
台の近くでストップやツッツキを処理したら、その場に留まらず、すぐに後ろへ足を引きます。前で止まってしまうと、次のドライブへの戻りが遅れます。処理したらすぐ次の動作に移る、というリズムを体に覚えさせます。
具体的には、ストップを処理するときに右足を素早く台の下に入れ、処理したらそのまま後ろへ下がります。
相手が打つ前に戻って待つ
理想は、相手が打つ前にもう後ろのポジションに戻り、足を固めてドライブを待つことです。ボールに合わせて動くのではなく、予測して先回りします。
前に出たら、攻めるか下がるかを判断する
一方で、高島規郎は、前に寄せられるたびにすぐ後ろへ下がるだけのカットマンでは勝てない、とも書いています(『続・卓球戦術ノート』)。前陣でのストップ処理では、意識を「攻撃」に切り替える必要がある、という考え方です。
相手が打ってくるボールなら、すぐに下がって待つ。自分が攻撃できるボールなら、前で攻める。前に出たときは、この2つを瞬時に判断します。
ミドルの処理
体の正面に来るミドルのボールは、フォアで取るかバックで取るか迷いやすく、カットマンの弱点になりやすいコースです。足をしっかり後ろに引いてスペースを作り、体を回して捉えるのが基本です。詳しくはカットマンのミドル処理でまとめています。
足でコースを決める
コースを打ち分けるとき、スイングの形を変えてしまう選手は多いのですが、スイングは変えず、足の位置でコースを決めます。フォアカットなら、狙うコースに合わせて左足の位置を変えるだけで、自然にコースが変わります。ストレートに打つときは、左足をしっかり後ろに引いて踏み込みます。
スイングを一定に保てるので、カットの安定とコースの厳しさを両立できます。
先読みして先回りする
反射神経だけに頼って動くと、どうしても後手に回ります。相手の打ち方や体の向きから次のボールを予測し、先に動き出します。先読みができると、打ちやすい位置で振れるので、守備が安定し、ニュートラルへの戻りも速くなります。
フットワークを支える体力
カットマンのフットワークには体力が必要です。韓国の研究では、守備型の選手は攻撃型の選手より敏捷性が高く、全身持久力・敏捷性・筋持久力が高い選手ほど国内ランキングが上でした(김용연・김상훈、2013年)。長いラリーを動き続けるための持久力と、前後左右に素早く動く敏捷性の両方を鍛えます。
フットワークの練習メニュー
- フォアとバックの切り返し:フォアとバックに交互にドライブを送ってもらい、足を入れ替えながらカットする。1球ごとにニュートラルに戻る
- 左右の揺さぶり:フォアサイド、バックサイドそれぞれで左右に揺さぶってもらい、動く方向の足から出して、腰を入れて打つ
- ミドルの処理:ミドルに送られたボールをカットした後、すぐにフォアやバックへ切り返す。最初は自分のスイングを確かめながら、少しずつ速くする
- 前後の動き:ストップを処理した後、すぐに足を引いて後ろに下がり、次のドライブをカットする
- 台を広く使う練習:左右に大きく振ってもらい、腰を入れた姿勢を保ち続ける。厳しい練習ですが、守備範囲を広げます
カットマンのフットワークについてよくある質問
Q. 足が間に合わないときはどうする?
無理に大きく振らず、ラケットの角度を工夫して当てるように返します。そのうえで、先読みして早く動き出す練習をします。
Q. 平行足で打ってはいけない?
基本は、フォアカットは左足前、バックカットは右足前です。基本ができたうえで、トップ選手の中には平行足を基本にする選手もいます。
Q. ミドルが苦手です
足をしっかり引いてスペースを作ることが第一です。ミドルをカットした後にフォアやバックへ切り返す練習を、多球練習から始めてください。
まとめ
- カットマンは足で打つ。足を止めて腕だけで返さない
- 基本は、打ったら必ずニュートラルの位置に戻ること。ラケットの戻る位置も大切
- フォアカットは左足前、バックカットは右足前。切り返しでは足を入れ替える
- 左右は動く方向の足から出し、腰を入れて打つ。前後はストップの後すぐ足を引き、相手が打つ前に戻る
- ミドルは足を引いてスペースを作る。コースはスイングではなく足の位置で決める
- 反射神経だけに頼らず、先読みして先回りする
足が動けば、カットは安定する。フットワークは、カットマンのすべての技術の土台です。
この記事を書いた人
チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。
カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。
参考・出典
- 【技術動画 Vol.11】カットでの切り返しの秘訣やコツ(YouTube「まつしたこうじの今夜もカットマン」)
- 【技術動画 Vol.12】スイングを変えずにコースを狙う(同)
- 【技術動画 Vol.13】カットでの前後フットワーク(同)
- 【技術動画 Vol.15】左右のフットワーク(同)
- 【技術動画 Vol.16】ミドル処理編(同)
- 【技術動画 Vol.4】フォアカット(同)
- 村松雄斗「フォアカットのポイント」(YouTube「村松雄斗 -Yuto Muramatsu-」)
- 高島規郎『続・卓球戦術ノート』(卓球王国)
- 김용연・김상훈「여자 엘리트 탁구 선수의 전형별 체력 및 경기력 분석」2013年
※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。



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