カットマンというと、相手の攻撃を受けてからが勝負、と思われがちです。ですが、今のカットマンはサービスから主導権を握りにいきます。サービスは、自分の思いどおりに打てる唯一のボールです。この記事では、カットマンにとってのサービスの考え方、下回転と上回転の出し分け、回転量を増やすコツ、相手に回転を悟らせないフェイクモーション、そして3球目攻撃まで解説します。
この記事でわかること
- カットマンにとってサービスが大切な理由
- データで見る、トップのカットマンのサービス
- 下回転と上回転の出し分け、回転量を増やすコツ
- フェイクモーションと、サービスからの3球目攻撃
カットマンにとってのサービス
「ミスター・カットマン」と呼ばれた高島規郎は、現代のカット型はサービスを持ったら必ず3球目攻撃をするべきだとしています(『卓球戦術ノート ラストページ』)。カットで粘る前に、サービスから点を取りにいく。それが今のカットマンの考え方です。
カットマンのサービスでは、長いサーブも積極的に使います。長いサーブで相手のミスを誘ったり、3球目攻撃につなげたりします。試合の序盤から長いサーブを出して相手の心理を揺さぶると、その後のラリーを有利に進められます。
データで見る、トップのカットマンのサービス
- サービスからの得点:世界トップレベルの女子カットマン8人の試合では、1〜3球目で得点しやすい傾向がありました(野中ほか、2017年)
- バックハンドサーブが中心:男子のトップレベルの試合を分析した研究では、カットマンのサービスのうち、バックハンドサーブが58.4%、短いサービスがおよそ半分でした(Nikolakakisほか、2025年)
- サービスからの攻撃の得点率は高い:中国の研究では、陳新華(Chen Xinhua)と丁松(Ding Song)のサービスからの攻撃の得点率は79.3%と72.3%で、攻撃型の馬琳(Ma Lin)(73.2%)と同じ水準でした(陳澤全(Chen Zequan)、2009年)。今の中国の馬特(Ma Te)も、サービスからの攻撃の得点率は57.7%と高い一方、その場面が試合に占める比率は19.3%と低く、もっと攻めるべきだと分析されています(楊青(Yang Qing)・呂延愷(Lü Yankai)、2020年)
カットマンは、サービスから攻める力を持っています。それをどれだけ使うかが、勝敗を分けます。
下回転と上回転の出し分け
カットマンのサービスの基本は、下回転と上回転の出し分けです。ラケットの角度を変えることで、回転の種類を変えます。
- 下回転:ラケットをボールの下に入れて、下をこする
- 上回転:ラケットを上に振って、ボールの上側をこする
同じようなフォームから下回転と上回転を出せると、相手は回転を読みにくくなります。
上回転のロングサービスで裏をかく
世界トップレベルで活躍したカットマン本人の研究では、上回転のロングサービスの本質は「相手の裏をかく」ことだとしています。相手が下回転に慣れたとき、下回転に気を取られているとき、疲れて判断力が落ちたときに、特に効果があります(野中ほか、2020年)。
回転量を増やすコツ|肘を使う
回転量を増やすには、肘の使い方が大切です。特にバックサーブでは、肘をうまく動かすことで、より強い回転をかけられます。
フェイクモーション|回転を悟らせない
相手は、サービスの動作を見て回転を読もうとします。そこで使うのがフェイクモーションです。
- 下回転のフォームから上回転を出す(またはその逆):ラケットを下から上へ、上から下へと動かすときの肘の使い方と、インパクトの瞬間の手首の使い方で、回転を変える
- インパクトでラケットを立てる・寝かせる:当たる瞬間のラケットの角度で、回転を微妙に調整する
- 相手の心理を利用する:相手が回転を見抜こうとしているのを逆手に取り、フォームをあえて大きくしたり、小さく見せたりして変化をつける
カットマンのバックサーブには、こうした工夫でいくつもの種類があります。同じ動作から違う回転を出せるほど、サービスは武器になります。
サービスからの3球目攻撃
サービスは、3球目攻撃までをセットで考えます。
- 長いサーブで相手を揺さぶり、甘くなったレシーブを攻める
- 下回転のサーブで相手にツッツかせ、そのツッツキをドライブで攻める
- 上回転のロングサービスで相手の裏をかき、崩れたレシーブを打つ
カットマンの攻撃については、カットマンの攻撃でまとめています。
サービスの練習方法
- 下回転と上回転の出し分け:同じフォームから、ラケットの角度だけを変えて出す
- 肘を使って回転量を上げる:バックサーブで、肘の動きを意識して回転をかける
- フェイクモーション:練習相手に回転を当ててもらい、見破られないフォームを探す
- サービスから3球目まで:サービスを出し、相手のレシーブを3球目で攻めるところまでを1セットで練習する
カットマンのサービスについてよくある質問
Q. カットマンに効くサーブは?
攻撃型の選手がカットマンと戦う場合の話であれば、カットマン対策・カット打ちのコツでまとめています。
Q. サービスの回転が弱いです
肘の使い方を見直してみてください。特にバックサーブでは、肘の動きで回転量が大きく変わります。
まとめ
- 今のカットマンは、サービスから主導権を握りにいく。サービスを持ったら3球目攻撃を狙う
- トップのカットマンは、1〜3球目で得点しやすく、バックハンドサーブが中心
- 下回転と上回転は、ラケットの角度で出し分ける。上回転のロングサービスで相手の裏をかく
- 回転量を増やすには肘を使う
- フェイクモーションで、相手に回転を悟らせない
サービスは、カットマンが自分の意思で打てる唯一のボール。守る前に、ここで点を取りにいきましょう。
この記事を書いた人
チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。
カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。
参考・出典
- 【技術動画 Vol.18】カットマンのサーブ前編(YouTube「まつしたこうじの今夜もカットマン」)
- 【技術動画 Vol.19】バックサーブ全6種(同)
- 高島規郎『卓球戦術ノート ラストページ』
- Nikolakakis, Bebetsos, Chatzopoulos「Offensive Players vs Defensive Players」2025年
- 野中由紀ほか「卓球競技の世界トップレベル女子カット主戦型選手のゲームの特徴」体育学研究、2017年
- 野中由紀ほか「卓球競技におけるサービスの動感能力に関する研究 ―女子カット主戦型を例証として―」2020年
- 陈泽全「世界高水平男子乒乓球运动员削球打法技术特征及发展」体育学刊、2009年
- 杨青・吕延恺「乒乓球削球打法分段论的构建研究」体育科学研究、2020年
※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。



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