カットマンの試合を見ていると、ラケットをくるりと回して、フォアとバックのラバーを入れ替える選手がいます。これが「反転」です。性質の違う2枚のラバーを場面によって使い分けられるので、特にバックに表ソフトや粒高を貼るカットマンにとって、大きな武器になります。この記事では、反転の仕組みと使い方、反転を広めた選手の歴史、ラバーの色のルールとの関係を解説します。
この記事でわかること
- ラケットの反転とは何か
- カットマンが反転を使う理由と、使う場面
- 反転の歴史(梁戈亮(Liang Geliang)から今のカットマンまで)
- 反転を使うときのコツと注意点
ラケットの反転とは
反転は、ラケットを手の中で回して、フォアの面とバックの面を入れ替えて打つ技術です。中国語では「倒板」と呼ばれます。
カットマンの多くは、フォアに裏ソフト、バックに表ソフトや粒高を貼っています。反転すると、ふだんバック側で使っている表ソフトや粒高をフォア側で使ったり、フォアの裏ソフトをバック側で使ったりできます。
カットマンが反転を使う理由
ラバーを場面によって使い分けられる
橋本帆乃香は、カットのときはバックの表ソフトで回転を抑え、攻撃のときはラケットを反転させて、裏ソフトで勢いを利用して打っています。カットに向いたラバーと攻撃に向いたラバーを、1本のラケットで使い分けられるのが反転の強みです。
バックハンドの攻撃力が上がる
バックに表ソフトや粒高を貼っていると、バックハンドで強い攻撃をするのは難しくなります。反転して裏ソフトの面を使えば、バックハンドでもドライブが打てます。村松雄斗の代名詞は、ラケットを反転させて打つ強烈なバックハンドドライブです。
相手に的を絞らせない
どちらの面で打ってくるかわからないと、相手は回転を読みにくくなります。フォアの裏ソフトの切れたカットと、反転した表ソフトや粒高のカットが混ざると、相手の判断はさらに難しくなります。
反転の歴史
梁戈亮が反転を広めた
反転をカットマンの武器として広めたのが、1970年代の中国の梁戈亮です。フォアに裏ソフト、バックに粒高を貼ったラケットを反転させ、切れるカットと切れないカットの変化と、攻撃の機会を大きく広げました。1976年9月には世界ランキング1位になっています。
同じ時代の陸元盛(Lu Yuansheng)は、フォアに粒高、バックに裏ソフトという珍しい組み合わせで反転を使いました。
ラバーの色のルールで反転の意味が変わった
当時は、ラケットの両面に同じ色のラバーを貼ることができました。どちらの面で打ったのか相手には見分けにくく、反転の効果はとても大きかったのです。1983年のルール改正で、両面に同じ色のラバーを貼ることが禁止され、のちに赤と黒の2色に決まりました。中国の天天乒乓網は、陸元盛をラバーの色が規制される前の、反転カットの最後の代表的な選手としています。
色のルールができてからは、反転は「相手に見分けられない技術」から、「見分けられても、ラバーの性質の違いを生かして使い分ける技術」に変わりました。今の橋本帆乃香や村松雄斗の反転は、まさにこの使い方です。詳しい歴史は中国のカットマンの系譜でまとめています。
反転を使う場面
- 攻撃するとき:バックの表ソフトや粒高から、裏ソフトに反転してバックハンドドライブを打つ
- カットに変化をつけるとき:反転して、いつもと違う面でカットし、回転の違いで相手を惑わせる
- 相手のツッツキを狙うとき:橋本帆乃香は、相手がツッツキの構えをした瞬間に反転してバックハンドで攻撃します
反転を使うときのコツと注意点
すぐに回せる握り方を探す
反転するには、ラケットを手の中で素早く回す必要があります。橋本帆乃香は、いつでも素早く反転できるように、深く握りすぎず浅く軽く握っています。ただ、握り方は選手によって違い、正解はありません。自分に合った、反転しやすく打ちやすい握りを探してください。
反転した後に戻すことを忘れない
反転したまま次のボールが来ると、思わぬ面で打つことになります。反転して打ったら、次のボールまでに元に戻すか、反転したまま戦うかを決めておきます。
まずは練習で慣れる
反転は、慣れるまで時間がかかる技術です。多球練習で、カットの後に反転して攻撃し、また元に戻してカットする、という流れを繰り返して体に覚えさせます。
反転についてよくある質問
Q. 反転はルール違反ではない?
違反ではありません。ラリー中にラケットを回して面を入れ替えることは認められています。ただし、ラバーの両面は赤と黒など違う色にする決まりがあります。
Q. カットマンは全員反転を使う?
全員ではありません。反転を多く使う選手もいれば、ほとんど使わない選手もいます。バックに表ソフトや粒高を貼っていて、バックハンドでも攻撃したい選手には、特に役立つ技術です。
Q. 反転はいつから練習すればいい?
カットとツッツキが安定してから取り入れるのがおすすめです。トップのカットマンも、まずカットとツッツキを身につけてから攻撃を加えています。
まとめ
- 反転は、ラケットを回してフォアとバックの面を入れ替える技術
- カットに向いたラバーと攻撃に向いたラバーを使い分けられ、バックハンドの攻撃力も上がる
- 1970年代に梁戈亮が広め、1983年のラバーの色のルールで使い方が変わった
- 今は、ラバーの性質の違いを生かして使い分ける技術として、橋本帆乃香や村松雄斗が使っている
- 握り方は人それぞれ。自分に合った、回しやすい握りを探す
1本のラケットに、2つの武器。反転は、カットマンのプレーの幅を大きく広げます。攻撃全体はカットマンの攻撃のコツでまとめています。
この記事を書いた人
チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。
カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。
参考・出典
- 【カットマン必見】橋本帆乃香が教えるバックハンド攻撃(ニッタク公式)
- 天天乒乓網 削球历史(2007年)
- 日本語版Wikipedia「卓球」(ルールの変遷)
※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。



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