バックカットは、カットマンが最も多く使う技術です。相手のドライブをバック側で受け、下回転をかけて返します。試合の中で何度も打つ技術だからこそ、安定したバックカットがカットマンの土台になります。この記事では、バックカットの基本の構えと打ち方、安定させるコツ、初心者のラバー選び、そしてトップ選手の応用まで解説します。
この記事でわかること
- データで見る、バックカットの重要性
- バックカットの基本の構えと打ち方
- 安定させるコツと、初心者のラバー選び
- 村松雄斗のバックカットに学ぶ応用
バックカットとは|カットマンの得点源
バックカットは、バック側に来た相手のドライブを、ボールの下をこすって下回転で返す技術です。
トップのカットマンは、フォアよりもバックのカットを多く使っています。世界トップレベルの女子カットマン8人の試合を分析した研究では、1人を除く全員が、フォアのカットよりバックのカットを多く使っていました(野中ほか、2017年)。男子のトップレベルの試合でも、カットマンのレシーブの72.5%、3球目の61.4%がバックのカットでした(Nikolakakisほか、2025年)。
バックカットは、得点にも直結しています。中国の研究では、朱世赫のラリーでの得点の50.5%がバックのカットで、フォアのカット(21.4%)の2倍以上でした(陳澤全(Chen Zequan)、2009年)。
バックカットの基本の構え|右足を前に出す
右利きの場合、バックカットは右足を前に出して構えます。右足が前に出ると体が安定し、ボールをしっかり捉えられます。フォアカットでは左足を前に出すので、フォアとバックでは前に出す足が入れ替わります。
バックカットの基本の打ち方
肘を支点にして振る
バックカットは、肘を支点にしてスイングします。肘の位置が安定すると、ラケットの角度もぶれにくくなり、カットが安定します。
足で打つ
足を止めたまま腕だけで返そうとすると、スイングが不安定になり、守備範囲も狭くなります。ボールに合わせて足を運び、打ちやすい位置で振ります。
バックカットを安定させるコツ
フォアカットと共通するコツです。
- スイングは変えず、インパクトの強さで調整する:相手のボールに合わせてスイングの形を変えない
- 山なりの軌道にする:ネットすれすれを狙わず、空間を使って深く返す
- 軌道の頂点をネットの手前にする:ネットミスもオーバーミスも減る
詳しくはフォアカットでまとめています。
初心者のバックのラバー|まずは裏ソフトから
カットマンのバックには、粒高や表ソフトを貼る選手が多くいます。ただ、これからバックカットを覚える初心者には、裏ソフトから始めるのがおすすめです。裏ソフトは、自分から回転をかけたり、回転の量を調整したりしやすいからです。
粒高は、相手の回転の影響を大きく受けるラバーです。回転の変化の仕組みを理解し、ある程度のレベルになってから検討すると、粒高の変化を生かしやすくなります。
応用編|村松雄斗のバックカット
基本ができたら、トップ選手の工夫も参考になります。村松雄斗は、自身のバックカットについて次のように解説しています。
- 足は広めに、つま先を外に:肩幅より少し広く開き、つま先を外に向けて安定させる
- 左足でタメを作る:打つ前に左足でしっかりタメを作り、スイングの余裕と懐の深さを確保する
- ラケットは少し外側に引く:バックスイングで、ラケットを頭の近くではなく少し外側に引き、スペースを作る。腕と足の力を連動させる
- 前への体重移動を抑え、斜め前に振る:相手の強打に対して前に体重を移しすぎると、オーバーミスしやすい
- 横方向に切る:前に押し出すのではなく、横方向に切って「切る力」を最大にする
- 本当に切りたいときは後ろに体重を移す:あえて後ろに体重を移し、腕の力だけでインパクトを作る
- 足は平行足が基本、浅いボールには右足を踏み込む
一緒に出演した張一博は、村松雄斗のカットは回転量が非常に多く、横回転が混ざってボールがサイドに曲がるので、相手はとても打ちにくい、と評価しています。
基本の「右足を前に出す形」ができたうえで、こうした工夫に挑戦すると、バックカットの幅が広がります。
バックカットの練習方法
- 多球練習で基本を固める:バック側にドライブを送ってもらい、右足前・肘を支点・小さなスイングを確認する
- 深さと頂点を意識する:ネットの手前に頂点が来る山なりの軌道で、深く返す
- ミドルの処理:バック側からミドルへのボールを、足を引いてスペースを作ってからカットする
- フォアとバックの切り返し:足を入れ替えながら、フォアカットとバックカットを交互に打つ
- バックのツッツキからバックカットへ:前後の動きを入れながら、ツッツキとカットをつなげる
まとめ
- バックカットは、カットマンが最も多く使い、得点にもつながる技術
- 基本は右足を前に出し、肘を支点に振る。足で打つ
- 安定のコツは、スイングを変えない、山なりの軌道、頂点はネットの手前
- 初心者のバックのラバーは裏ソフトから。粒高は回転の変化を理解してから
- 基本ができたら、村松雄斗の左足のタメや横に切る打ち方などの応用に進む
何度も打つからこそ、形を崩さない。安定したバックカットが、カットマンの土台になります。
この記事を書いた人
チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。
カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。
参考・出典
- 【技術動画 Vol.5】バックカット(YouTube「まつしたこうじの今夜もカットマン」)
- 【技術動画 Vol.7】カットを安定させる秘訣(同)
- 【技術動画 Vol.11】カットでの切り返しの秘訣やコツ(同)
- 村松雄斗「バックカットのコツ」(YouTube「村松雄斗 -Yuto Muramatsu-」)
- 野中由紀ほか「卓球競技の世界トップレベル女子カット主戦型選手のゲームの特徴」体育学研究、2017年
- Nikolakakis, Bebetsos, Chatzopoulos「Offensive Players vs Defensive Players」2025年
- 陈泽全「世界高水平男子乒乓球运动员削球打法技术特征及发展」体育学刊、2009年
※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。



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