カットマン対策|攻撃型が勝つ戦術とカットマンの本音

「カットマンにどうしても勝てない」。そんな悩みを持つ攻撃型の選手は少なくありません。カットマンは長いラリーに強く、切れたカットと切れていないカットで、相手のミスを誘ってきます。ですが、すべての技術が完璧なカットマンはいません。この記事では、プロの意見と、15年以上カットマンをしている運営者の「これは嫌だ」を並べて、カットマンに勝つための攻め方を解説します。

この記事でわかること

  • カットマンが一番嫌がる攻め方
  • ストップ・ミドル・ドライブでの粘りなど、攻め方ごとの効果(プロの意見とカットマンの本音)
  • トップ選手はカットマンをどう攻めているか(データ)
  • 相手に効く技の選び方と、慣れられたときの変え方
目次

カットマンを「ただのカットマン」と考えない

1967年の世界選手権で3冠を取った長谷川信彦さんは、「相手はカットマンだ。粘ってチャンスだけ打てばいい」という作戦では、強いカットマンには勝てないと書いています。相手はオールラウンドプレーヤーだと考えて戦うと、気持ちが整理されて、レシーブも攻めも良くなるという考え方です(卓球レポート「作戦あれこれ」、1986年の記事)。

もちろん、初心者や地区大会のレベルなら、無理をせず、サービスからの3球目とチャンスボールだけ打つやり方で十分です。レベルが上がるほど、カットマンを攻撃もできる相手として見る必要があります。

3球目・4球目の速攻|カットマンが一番嫌がること

「ミスター・カットマン」と呼ばれた高島規郎さんは、カット型が最も嫌がる戦い方は、サービスからの3球目攻撃と、レシーブからの4球目攻撃で得点されることだとしています(『卓球戦術ノート ラストページ』)。カットマンは、ラリーに持ち込めば回転の変化で相手のミスを誘えます。逆に言えば、ラリーになる前に点を取られるのが、一番苦しいのです。

長谷川さんも、サービスは、対ドライブ型と同じように、間合いやモーション、回転に変化をつけた厳しいものを出し、レシーブは強気にいくことを勧めています。

一番シンプルですが、強力な攻撃を持っている選手ほど嫌です。

ストップ|短く止めれば、カットマンは前に引き出される

レベルの高いカットマンは、3球目・4球目をしのいで、ラリーに持ち込んできます。そこで鍵になるのがストップ(短く止めるボール)です。高島さんは、次のように説明しています。

  • 直前まで攻撃の姿勢を見せる:「今からストップします」という動きを見せては意味がありません。ボールに触る直前まで攻撃の姿勢を見せ、ぎりぎりのタイミングでストップに切り替えます。
  • 2バウンドするくらい短く止める:長いと、カットマンに台の上で攻撃されます。
  • 前に引き出してから、ミドルや苦手なコースを攻める:前に出たカットマンは、すぐ後ろへ下がらなければならないので、そこを突きます。
台から出る長いツッツキは、変化をつけたり攻撃に転じたりしやすいので、むしろありがたいです。嫌なのは、台の中で2バウンドする短いストップをされること。これは深いカットに対しては難しいので、こちらのカットが浅くなったときにやられやすいです。

ミドルとバック|どこを狙うか

高島さんは、カットマンの弱点の一つがミドルだとしています。フォアで取るか、バックで取るかを迷わせることができます。また、バックに集めて攻め続けた後に、コースを変えて決める攻め方も有効です。バックに表ソフトや粒高を貼ったカットマンには、特に効きます(『続・卓球戦術ノート』)。

ミドルを攻められると「狙われているな」と思います。ミドルに意識が向くので、逆にフォアとバックの両サイドを組み合わせられると、苦しいです。

ドライブで粘る|ツッツキの誘いに乗らない

カットマンにとって、ツッツキを攻撃するのは、最もオーソドックスな攻め方です。変化サービスや、よく切れたカットで、ツッツかせようとします。長谷川さんは、この注文どおりにツッツかず、威力のあるドライブで粘ることを勧めています。ツッツキを予想して前に出てくるカットマンを、ドライブで攻めれば、カットが甘くなったり、一発で決まったりするからです。

ただし、ミスを恐れてすぐにツッツくと、読まれて狙い打ちされます。ツッツキは、ドライブすると7割以上ミスしそうなボールや、作戦として必要なときに使います。

高島さんは、ストップを使わない戦い方も、カットマンを苦しめるとしています。

  • 甘くなるまで、ドライブを打ち続ける:相手のカットが甘く返ってくるまでつなぎ、チャンスが来たら一発で決める。
  • 1コースに打ち続け、逆コースへ強打する:同じコースにドライブを打ち続け、予想できないタイミングで、逆のコースに打つ。
個人的には、かなり嫌です。ツッツキは変化や攻撃のきっかけになりますが、カウンターしにくいドライブで粘られるのが、一番大変です。ここは、カットマン側の技術によって変わります。ツッツキのミスが多いカットマンなら、ツッツキで攻めたほうがいいですし、カットのミスが多いなら、ドライブで攻めたほうがいいです。

バックハンドから攻撃を始める

高島さんは、カットマンを攻めるときは、最初の攻撃をバックハンドで始めることも勧めています。フォアハンドで攻めるときは、動作がはっきり変わるので、カットマンは事前に察知して準備ができます。バックハンドの攻撃は、察知されにくく、不意を突かれたカットマンは、十分なカットの体勢を作れません。

バックハンドで先に攻められるのは、嫌です。カットマンは、相手がバックで構えているとツッツキだと直感的に思うので、カットの構えが遅れがちです。そこでバックドライブを打たれると、カットが遅れて、詰まったり浮いたりしやすいです。

揺さぶりは、スマッシュよりドライブで

カットマンを前後に揺さぶるのは有効ですが、スマッシュで揺さぶるのは、おすすめしません。スマッシュの速いボールは、かえってカットマンにリズムを与えます。パワードライブとループドライブで揺さぶるほうが効果的です。特に、バックに大きく突き放して、フォア前に小さく落とすコースが有効です(高島規郎『続・卓球戦術ノート』)。

レシーブは「フォアから打たせてバックに止める」

高島さんは、レシーブで、カットマンのフォア側に打たせて、バック側に止めるのが定石だとしています。バックに変化ラバーを貼ったカットマンが多く、5球目でバックハンドを強く振ってくることが少ないからです(『続・卓球戦術ノート』)。

ラリー中は、反撃に備える

長谷川さんは、カットマンがラリー中に打ってくることを、頭に入れておくよう勧めています。ドライブに対するスマッシュや強ドライブ、曲がるドライブ、ストップへの強打、イボ高のプッシュなど、カットマンの攻撃は多彩です。反撃されても動揺せず、次の攻撃や守備の準備を忘れないことが大切だとしています。また、ドライブを打った後は、攻守のどちらにも対応できる構えに、早く戻ることが基本だと述べています。ドライブの打ち方や、戻りの練習は、カット打ちの記事で詳しく解説する予定です。

データで見る、トップ選手のカットマンへの攻め方

ギリシャの研究チーム(Nikolakakisほか、2025年)が、2022〜2023年のWTTコンテンダーで、攻撃型とカットマンが対戦した男子の42試合を分析したところ、攻撃型の選手は次のように戦っていました。

場面攻撃型の選手の選択
サービスカットマンのバック側へのロングサービスが30.7%
レシーブフォアのツッツキが40.9%、フォアドライブが18.7%
3球目フォアドライブが80%

勝敗は、21勝21敗でした。トップレベルでも、カットマンとの試合は互角です。

完璧なカットマンはいない|相手に効く技を選ぶ

ここまでの攻め方は、どれも、すべてのカットマンに効くわけではありません。

すべての技術が等しく完璧な人はいません。そもそもできない技術があったり、できるが「不安だな」と思っていたり、日によって調子の良い悪いがあったり、最近たまたま練習していなかったり、あるいは試合の中で調子を崩されたり。一見穴のない上級者でも、相対的に見ると、狙えるところがあるものです。

カットマンの本音をまとめると、攻め方は、相手の弱いところに合わせて選ぶのが効果的です。

相手の様子試したい攻め方
カットが浅くなりやすい短いストップで前に引き出す
ツッツキで変化をつけたがっているツッツキをせず、ドライブで粘る
フォアで変化や攻撃をしたがっているバックに集める
カットに不安があるミドルを攻める
バックの構えに反応が遅れるバックハンドで先に攻める
ツッツキのミスが多いツッツキで攻める
カットのミスが多いドライブで攻める
フォアのミスが多いフォアを攻める
バックのミスが多いバックを攻める

カットマンが一番嫌なのは、自分の狙いを封じてくる相手です。

こちらの狙いを封じてくるタイプが嫌です。ツッツキで変化をつけたいのに、ツッツキをしてくれない。フォアで変化や攻撃をしたいのに、バックばかり狙ってくる。カットに不安があるのに、ミドルを攻めてくる。そんな相手です。

慣れられたら、やることを変える

同じ攻め方を続けると、カットマンは慣れてきます。高島さんの「1コースに打ち続け、逆コースへ強打する」も、予想できないタイミングで変えるところが肝心です。長谷川さんも、相手の攻撃パターンを読むことが大切だとしています。

試合の中盤で攻め方を変えられると、対応が遅れます。たとえば、それまでクロスにしかドライブが来なかったのに、急にストレートやミドルを狙われる、といったときです。

試合の途中でも、効いている攻め方は続け、慣れられたと感じたら、コースや球種、戦術を変えてみましょう。

まとめ

  • カットマンが一番嫌がるのは、3球目・4球目の速攻。強力な攻撃を持つ選手ほど嫌がられる
  • ストップは、直前まで攻撃の姿勢を見せ、2バウンドするくらい短く止める。深いカットには難しいので、カットが浅くなったときが狙い目
  • ミドルを攻め、フォアとバックの両サイドを組み合わせる。バックハンドの先攻も有効
  • ツッツキの誘いに乗らず、ドライブで粘る。ただし、どちらが効くかは相手による。ツッツキのミスが多い相手にはツッツキ、カットのミスが多い相手にはドライブで攻める
  • 完璧なカットマンはいない。相手の弱いところに合わせて攻め方を選び、慣れられたら変える

カットマンの「嫌なこと」を知れば、カットマンとの試合は怖くありません。

この記事を書いた人

チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。

カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。

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参考・出典

※この記事の情報は2026年10月6日時点のものです。

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