ツッツキは、卓球で最初に覚える技術の一つです。地味に見えますが、相手のミスを誘い、試合の流れを自分に引き寄せるために欠かせない技術で、カットマンにとっては特に大切です。この記事では、ツッツキの基本の打ち方から、よく切れるツッツキのコツ、粒高・表ソフトでのツッツキ、ツッツキから攻撃につなげる方法まで解説します。
この記事でわかること
- ツッツキの基本の打ち方(足・打球位置・スイング・タイミング)
- フォアとバックのツッツキの違い
- よく切れるツッツキのコツと、変化をつけるツッツキ
- 粒高・表ソフトでのツッツキとプッシュ
ツッツキとは
ツッツキは、台の近くに来た短い下回転のボールを、下回転で返す技術です。ラケットの面を上に向け、ボールの下を押すように打ちます。
ツッツキは地味な技術ですが、相手のミスを誘ったり、相手に攻めさせないボールを送ったりして、試合を有利に進めるために欠かせません。世界ランキング50位以内の日本の女子カットマン7人に聞き取りをした研究では、全員がカットマンになった後、まず「カットとツッツキ」を身につけ、その後に攻撃を取り入れていました(野中ほか、2018年)。カットマンの上達は、ツッツキから始まるといっても言い過ぎではありません。
ツッツキの基本の打ち方
右足を前に出す
右利きの場合、ツッツキは基本的に右足を前に出して打ちます。体が安定し、次のボールへの切り返しもしやすくなります。
ボールを体の近くで捉える
ボールは体の近くで捉えます。体から離れたところで打つとスイングが大きくなり、安定感も回転をかける力も落ちてしまいます。「顔をボールに近づけて打つ」くらいの感覚が、体の近くで打つ目安です。
スイングは小さく
大きく振る必要はありません。小さなスイングで、ラケットの角度を正確に合わせることを意識します。
バウンドして上がってくるところを捉える
打つタイミングは、ボールがバウンドして上がってくるところです。早いタイミングで捉えるとコントロールしやすくなり、相手に時間も与えません。
フォアとバックの違い
バックのツッツキは体の前で打てるので、比較的やさしい技術です。一方、フォアのツッツキは手元が体の後ろ側になりやすいので、右足をしっかり踏み込んで、体の近くでボールを捉える意識が必要です。
よく切れるツッツキのコツ
基本ができたら、次は回転量を上げる工夫です。「とにかく切る」ことを得意とする佐藤瞳は、次のようなコツを紹介しています。
フォア|親指と人差し指で挟み、短く鋭く当てる
- インパクトの瞬間に、人差し指と親指でラケットを挟む力を使う
- 腕をしならせてラケットの先を走らせ、短く鋭く当てる
- ボールの内側より少し外側を捉えると、ボールがラケットに乗り、回転量が上がる
バック|ボールの横下を捉え、少し長く持つ
- ボールの横下を捉え、粒を寝かせるように打つ
- 面を固定せず、当てる瞬間に面を少しずつ上げる。前腕のひねりも使う
- フォアとは違い、少し長くボールを持つ感覚でインパクトを強くする
佐藤瞳のバックは、粒高に近い形の変化系表ソフトです。表ソフトや粒高でも、捉える場所と面の使い方で、しっかり切ったツッツキが出せます。
変化をつけるツッツキ
よく切れたツッツキだけでは、相手は慣れてきます。切れたツッツキと切れていないツッツキを同じフォームで出し分けると、相手はドライブで持ち上げるか、ツッツキで返すかの判断に迷います。
橋本帆乃香は、ツッツキに横回転を加えたり、押し出すようなプッシュを混ぜたりして、相手を崩しています。回転の量だけでなく、回転の向きや長さを変えるのも、ツッツキの変化です。
粒高・表ソフトでのツッツキとプッシュ
粒高のツッツキはボールの底を捉える
粒高は相手の回転の影響を受けやすく、「粒高のツッツキは切れない」と言われることがあります。実際、粒高の元祖といわれる中国の張燮林(Zhang Xielin)のツッツキはあまり切れず、1965年の世界選手権では、日本の選手にツッツキを狙って攻められたことがありました。
粒高で回転をかけるには、ラケットを少し上に向けて、ボールの「底」をこするように打ちます。よくある失敗は、底を捉えられずに粒がボールに食い込みすぎて、回転がかからないことです。相手の回転を利用する感覚で打ち、回転を抑えようとしてラケットを押さえ込まないようにします。押さえ込むと、かえってボールが浮いてしまいます。ラケットを少し前に送り出すと、軌道が安定します。
粒高のプッシュは2種類を使い分ける
粒高では、ツッツキのほかに、ボールを押し出す「プッシュ」もよく使います。プッシュには2種類あります。
| プッシュ | 打ち方 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 安定させるプッシュ | ラケットを少し上に向け、真っすぐ押し出す | 相手の攻撃や回転に対して、確実に返したいとき |
| 回転をかけるプッシュ | ラケットを少し立て、ボールを上に込めるように回転を加える | 相手に強打させたくないとき |
粒高の変化を過信して無理に回転をかけようとすると、ミスをして相手にチャンスボールを与えてしまいます。基本は安定した返球を心がけ、相手のミスを誘い、レシーブのコースを絞らせない道具としてプッシュを使います。
ツッツキから攻撃につなげる
ツッツキは、攻撃のチャンスを作る技術でもあります。中国の丁松(Ding Song)は、変化の激しいツッツキで相手を崩し、そこからパワードライブで攻めるスタイルで、「守りと粘り」だったカットマンのイメージを変えました。
相手が甘いツッツキやストップを返してきたら、それが攻撃のチャンスです。ツッツキで相手を崩し、次のボールを攻める。この流れを作れると、ツッツキは守りの技術から得点の技術に変わります。
ツッツキの練習方法
- 多球練習:下回転のボールを送ってもらい、右足を前に出す、体の近くで捉える、上がり際を打つ、の3つを確認する
- フォアとバックの切り替え:フォアとバックに交互に送ってもらい、足を入れ替えながらツッツキを続ける
- ツッツキとカットの組み合わせ:フォアのツッツキの後にバックカット、バックのツッツキの後にフォアカットと、前後の動きを入れて練習する
- 切る・切らないの出し分け:同じフォームで、切ったツッツキと切らないツッツキを交互に出す
まとめ
- ツッツキは、短い下回転のボールを下回転で返す技術。地味だが、試合を有利に進めるのに欠かせない
- 基本は、右足を前に出す、ボールを体の近くで捉える、スイングは小さく、上がってくるところを捉える
- フォアは右足をしっかり踏み込む
- よく切るには、インパクトを短く鋭く、ボールの少し外側や横下を捉える
- 粒高はボールの底を捉え、押さえ込まない。プッシュは「安定させる」と「回転をかける」を使い分ける
- ツッツキで相手を崩し、次のボールで攻める
地味な1球が、試合の流れを変える。ツッツキは、カットマンの土台になる技術です。
この記事を書いた人
チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。
カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。
参考・出典
- 【技術動画 Vol.6】地味だけど超大切な技術『ツッツキ』!(YouTube「まつしたこうじの今夜もカットマン」)
- 【技術動画 Vol.9】粒高でのカット&ツッツキ(同)
- 【技術動画 Vol.20】粒高プッシュ編(同)
- 【佐藤瞳が教える】とにかく切る!フォア&バックのツッツキ講座(ニッタク公式)
- 卓球ジャパン! 橋本帆乃香の横回転&プッシュを加えたツッツキ
- 卓球王国 [魔球を操った男]張燮林
- 卓球王国 元世界3位の丁松が卓球クラブ開設
- 野中由紀ほか「卓球競技の世界トップレベル女子カット主戦型選手の強化過程に関する研究」体育学研究、2018年
※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。



コメント