カットマンのラケットの選び方とおすすめ|段階・スタイル別に解説

カットマンのラケットは、攻撃型の選手のラケットとは選ぶ基準が違います。カットを安定させるための弾みの抑え方と、攻撃もするための弾みの残し方、そのバランスをどこに置くかが選び方の中心です。この記事では、カット用ラケットの特徴と選び方、上達の段階やプレースタイルに合わせた考え方、トップ選手が使っているラケット、おすすめのカット用ラケットを紹介します。

この記事でわかること

  • カット用ラケットと攻撃用ラケットの違い
  • 弾み・ブレードの大きさ・重さ・合板・グリップの選び方
  • 初心者・中級者以上・攻撃型、段階とスタイル別の考え方
  • トップ選手のラケットと、おすすめのカット用ラケット
目次

カット用ラケットとは|攻撃用との違い

カット用ラケットは、カットマンが使うことを前提に作られたラケットです。メーカーのカタログでは「守備用」「カット用」と分類されています。攻撃用のラケットとの主な違いは3つです。

カット用ラケット攻撃用ラケット
ブレードの大きさ大きめ(165×156mm前後のセミラージ、168×159mmのラージもある)標準(157×150mm前後)
弾み控えめ。ボールを持つ時間が長いよく弾む
重さやや重めのものが多い(85〜105g前後)軽めから重めまで幅広い

ブレードが大きいと、ボールを捉える面が広くなり、守備範囲が広がります。弾みが控えめだと、相手の強いドライブを受けてもカットが飛びすぎず、台に収めやすくなります。

カットマンのラケットの選び方

1. 弾み|守備寄りか、攻撃寄りか

いちばん大事なのが弾みです。弾みが少ないほどカットは安定し、弾みがあるほど攻撃の威力が出ます。

同じカット用でも、弾みの幅はかなり広くあります。たとえばバタフライは、ラケットの弾みを「反発特性」という数字で示しています。バタフライの現行のカット用ラケットでは、最も弾まないインナーシールド レイヤー ZLFが5.5、最も弾むダイオードVが10.6と、倍近い差があります。

カットで粘ることが多いなら弾み控えめ、攻撃を多く使うなら弾みのあるもの、というように、自分がどちらで点を取りたいかで選びます。

2. ブレードの大きさ

カット用ラケットの多くは、165×156mm前後のセミラージです。さらに大きいラージサイズ(168×159mm前後)もあります。大きいほど守備範囲は広くなりますが、そのぶん振り抜くのに力が要り、攻撃の切り返しは遅れやすくなります。

3. 重さ

重いラケットは、強いボールに押されにくく、カットが安定します。一方で、連続して攻撃したり、前後に素早く動いたりするときには負担になります。カット用ラケットは85〜105g前後と幅があるので、実際に振ってみて、試合の最後まで振り切れる重さを選びます。

実際にはラバーを両面に貼るので、ラバーを貼った状態の重さで考えるのがポイントです。

4. 合板の構成|5枚・7枚・3枚・特殊素材

構成特徴
木材5枚合板カット用で最も多い。しなりがあり、ボールを持つ感覚が出やすい
木材7枚合板板がしっかりして、強いボールにも負けにくい
木材3枚合板昔のカット用の定番。今はあまり見かけない
特殊素材入りカーボンなどを入れて、スイートスポットを広げたり、攻撃の威力を上げたりしたもの

特殊素材入りのカット用ラケットは、攻撃の威力を出しやすいものと、打球の衝撃をやわらげて安定させるものの両方があります。素材の名前だけで判断せず、メーカーの説明や弾みの数値を見て選びます。

5. グリップ

グリップは、FL(フレア)とST(ストレート)が中心です。カットマンにはSTを選ぶ選手も多くいます。握り方は人それぞれなので、正解はありません。実際に握ってみて、フォアカットとバックカットの両方で手になじむものを選びます。

グリップの長さも打ち方に関わります。たとえば、松下浩二選手が使った松下プロモデルは、グリップを一般的な100mm前後より短い95mmにしていました。高島規郎さんの助言で、手首を使いやすくするためだったそうです。

段階・プレースタイル別の選び方

初心者|弾みが控えめで、コントロールしやすいもの

カットを覚える段階では、コントロールを重視して、弾みが控えめなラケットを選びます。弾むラケットでカットを覚えようとすると、ボールが飛びすぎて、正しいスイングが身につく前にミスが増えてしまいます。自分のスイングでボールを運ぶ感覚を覚えることが、この段階の目的です。

中級者以上|カットの安定と攻撃のバランスがとれたもの

カットが安定してきたら、攻撃力も求める段階です。カットの安定を保ちながら、攻撃のときにはしっかり飛ぶ、バランスのよいラケットが候補になります。

攻撃型のカットマン|攻撃寄りのもの、特殊素材入りのもの

攻撃で点を取るカットマンは、より弾みのある攻撃寄りのラケットや、特殊素材で安定感と威力を両立したラケットを、スタイルに合わせて選びます。

ここで大事なのは、ラケットの名前ではなく、今の自分の段階とスタイルに合っているかどうかです。同じ段階・スタイルに合うラケットは、メーカーを問わずいくつもあります。

高島規郎の考え方|少し小ぶりのラケットに、厚めのラバー

「ミスター・カットマン」と呼ばれた高島規郎さんは、著書で、カット型の用具の考え方が変わってきたと書いています。

  • 以前のカット型は、大きめのラケットに薄いラバーを貼る、守備を重視した組み合わせが多かった
  • 今のカット型には攻撃力が必要なので、ラケットは少し小ぶりにし、ラバーは厚めにする
  • 守備力はテクニックで補う

そのうえで、自分のスタイルに合わせて試しながら調整していくことを勧めています。攻撃が第一という高島さんの考え方が、用具選びにも表れています。

トップ選手のカットマンが使っているラケット

当サイトで調べた選手のうち、ラケットが分かっている選手を集計しました(過去の使用を含む)。

ラケット(シリーズ)メーカー選手
松下浩二シリーズVICTASハン・イン、ワン・ヤン、平塚健友、瓜生日咲、岡田蒼空、小塩遥菜、相馬夢乃、武楊(Wu Yang)、山室早矢(以前)、村松雄斗(以前)
朱世赫バタフライ(廃盤)朱世赫、ソ・ヒョウォン、厚谷武志、橋本帆乃香(以前)、ルーウェン・フィルス(特注)
剛力スーパーカットニッタク橋本帆乃香、佐藤瞳、小林りんご、石垣優香
デフプレイ センゾードニック牛嶋星羅、塩野真人(以前)

日本の女子のトップは剛力スーパーカット、日本の男子やヨーロッパでは松下浩二シリーズが多く使われています。朱世赫は廃盤になった今も、特注品として使い続ける選手がいます。

おすすめのカット用ラケット

当サイトで製品ページを作っている、現行のカット用ラケットです。

ラケットメーカー構成板厚重量価格(税込)卓球ナビ総合
松下浩二ディフェンシブ松下浩二ディフェンシブVICTAS木材5枚5.0mm84g前後14,300円7.00
インナーシールド レイヤー ZLFインナーシールド レイヤー ZLFバタフライ木材5枚+ZLファイバー5.1mm86g19,800円8.00
剛力スーパーカット剛力スーパーカットニッタク木材7枚4.9mm105g前後36,300円9.17
デフプレイ センゾーデフプレイ センゾードニック5枚合板5.5mm―8,800円8.46
松下浩二松下浩二VICTAS木材5枚5.4mm87g前後14,300円9.02
ダイオード プロダイオード プロバタフライ木材5枚5.5mm91g8,800円8.40
松下浩二スペシャル松下浩二スペシャルVICTAS木材5枚+フリースカーボン5.6mm90g前後15,840円9.17
松下浩二オフェンシブ松下浩二オフェンシブVICTAS木材5枚6.0mm93g前後14,300円8.37
ダイオードVダイオードVバタフライ木材5枚5.7mm96g7,700円8.44
松下浩二ZC松下浩二ZCVICTAS木材5枚+Zカーボン5.8mm87g前後27,500円9.25

スマートフォンでは、表を左右にスクロールして見られます。

※スペックは各メーカーの公式サイト、卓球ナビ総合は卓球ナビのユーザー評価の平均(10点満点)より(2026年9月時点)。表は、おおむね守備寄りから攻撃寄りの順に並べています。

卓球ナビの総合評価(10点満点)

松下浩二ディフェンシブ
7.00
インナーシールド レイヤー ZLF
8.00
剛力スーパーカット
9.17
デフプレイ センゾー
8.46
松下浩二
9.02
ダイオード プロ
8.40
松下浩二スペシャル
9.17
松下浩二オフェンシブ
8.37
ダイオードV
8.44
松下浩二ZC
9.25
0510

カットの安定を重視するなら

  • 松下浩二ディフェンシブ:松下浩二シリーズで最も薄く軽いモデル。柔らかい打球感で、当てれば入るような安定性があります。
  • インナーシールド レイヤー ZLF:バタフライのカット用で最も弾みを抑えたモデル。特殊素材を内側に入れ、柔らかい打球感で回転をかけやすいラケットです。
  • 剛力スーパーカット:橋本帆乃香選手・佐藤瞳選手が使う、日本の女子のトップの定番。重さがあり、強いボールに押されにくいラケットです。

カットと攻撃のバランスを重視するなら

  • 松下浩二:シリーズの標準モデル。カットの変化とコントロールに優れ、攻撃では合板の特性で弾みます。
  • ダイオード プロ:2024年発売。安定したカットと威力のある攻撃を、バランスよく引き出すモデルです。
  • デフプレイ センゾー:ヨーロッパで定番のカット用。価格が手ごろで、弾みを抑えたカットがしやすいラケットです。

攻撃を重視するなら

  • 松下浩二オフェンシブ:シリーズで最も厚く重く、攻撃の威力を重視したモデルです。
  • ダイオードV:バタフライのカット用で最もよく弾みます。価格も手ごろです。
  • 松下浩二スペシャル・松下浩二ZC:特殊素材入り。スペシャルは広いスイートスポット、ZCはカットの安定と攻撃の威力を両立しています。

初心者におすすめのラケットは?

カットを始めたばかりなら、弾みが控えめでコントロールしやすいラケットから始めるのが基本です。上の表では、松下浩二ディフェンシブやインナーシールド レイヤー ZLFのような守備寄りのモデルがそれにあたります。

価格を抑えたいなら、デフプレイ センゾーやダイオード プロのように、8,000円台で買えるカット用ラケットもあります。カットが安定してきて攻撃を増やしたくなったら、バランス型や攻撃寄りのラケットに替えることを考えます。

廃盤になったカット用ラケット

長く愛用されたカット用ラケットの中には、今は廃盤になったものもあります。当サイトでは、次のラケットの製品ページも作っています。

  • 朱世赫(バタフライ):攻撃するカットマンの定番だった5枚合板
  • 松下プロモデル・松下プロα・松下プロスペシャル(バタフライ):松下浩二選手と作ったシリーズ
  • ハッドロウシールド(バタフライ):佐藤瞳選手も使っていた、渋谷プロモデルがベースのラケット
  • ディフェンス・プロ・ディフェンスX・ディフェンスⅢ・ディフェンスⅣ・ディフェンスα(バタフライ):「ディフェンス」シリーズ

カットマンのラケットについてよくある質問

Q. 特殊素材入りのカット用ラケットは初心者に向きませんか?

特殊素材入りでも、打球の衝撃をやわらげて安定させるタイプのものもあります。素材よりも、弾みの強さで判断します。

Q. ラケットはどのくらいで替えるべきですか?

欠けたり変形したりしていなければ、長く使えます。松下浩二選手は、1本のラケットを8年近く使い続けました。調子が悪いときに用具を替えるより、同じラケットを使い込むほうが、守備と攻撃のバランスが崩れないと考えていたそうです。

まとめ

  • カット用ラケットは、攻撃用よりブレードが大きく、弾みが控えめ
  • 選ぶときは、弾み・ブレードの大きさ・重さ・合板の構成・グリップを見る
  • 初心者は弾み控えめでコントロール重視、中級者以上はバランス型、攻撃型は攻撃寄りや特殊素材入り
  • 高島規郎さんは、攻撃力が必要な今は少し小ぶりのラケットに厚めのラバーを勧めている
  • トップ選手では、松下浩二シリーズ・剛力スーパーカット・朱世赫が多い

ラケットは、自分がどう点を取りたいかで選ぶ道具です。今の段階とスタイルに合ったものから始めて、上達に合わせて見直していきましょう。

この記事を書いた人

チョッピー(Choppy)
カットマン歴15年以上。中学で卓球を始め、高校でカットマンに転向し、大学で練習を重ね、社会人の今もカットマンを続けています。

カットマンに関する情報は限定的で、指導者や知り合いから教えてもらうことがほとんど。暗黙知になりがちなカットマンの情報を共有知に変え、カットマン界を盛り上げたい。カットマン人口を増やしたい。そんな思いでこのサイトを作りました。

運営者チョッピーのプロフィールとサイトについて

参考・出典

※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。

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